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> ホワイトニングとグリスニング
近年、白内障手術に用いる眼内レンズは後発白内障が少なく、小切開で済むことからシリコンレンズに比べアクリルレンズの需要が拡大しています。しかし、アクリルレンズにはホワイトニングやグリスニングといった現象が起こることが問題になっています。
ホワイトニングとは
アルコン製のアクリソフというレンズに生じます(今はレンズが改良されたためほとんど出ません)。レンズ表面が様々な方向に光を反射し、それが増加して霧状に白色化して見える現象のことを言います。
ホワイトニングの発生には、眼内レンズの材質内で眼内を満たす房水(眼球を満たす体液のこと)が水と材質に分離し、その分離した水の光散乱が主原因である可能性が高いと言われています。
なお、下図のようにホワイトニングのないレンズと、生じたレンズの光の透過率を比較すると、若干低下が見られるものの、視機能に及ぼす影響については軽微であると考えられています。
ホワイトニングを生じた眼内レンズの光の波長ごとの透過率
また、光散乱は術後時間経過に伴い増加する傾向にあることが確認されていますが、実験的には視機能に影響はなく、視力とコントラスト感度(明暗の差を見分ける視機能)の有意な低下はないと報告されています。
グリスニングとは
疎水性アクリルレンズ内部に、きらきら輝いて見える小粒子が多数みられる現象のことを言います。
手術後数ヵ月以上して発生し、ある程度発生するとそれ以上増えることはありません。
グリスニング発生のメカニズム
H
2
0の状態ではなく、水蒸気の状態で分散して存在し、飽和状態で安定します。
眼内温度が低下すると眼内レンズの吸収率が下降し、
既に取り込まれていた水蒸気が過飽和状態となります
※房水の温度変化の要因として、眼内での炎症や体温の変化が考えられます 。
行き場のなくなった余剰な水蒸気がvoidに集約し水滴となります 。
グリスニングの特徴
◎グレアが強く発生します
◎レーザー治療を行った時にレーザーエネルギーの減少を招いています(レーザー光が散乱してしまうため、照射エネルギーが減少します)
◎糖尿病を有する場合グリスニングの発生率が高いです(機序は不明です)
ホワイトニングとグリスニングの違い
①発生部位
ホワイトニング
・・・IOLの表面下
グリスニング
・・・IOLの内部
②視機能
グリスニングはグレアの増強やコントラスト感度低下により、視力低下を来します。
ひどい時には、IOLを入れ替えることもあります。
③粒子の大きさ
ホワイトニング100nm < グリスニング1〜10μm
また、ホワイトニングとグリスニングでは粒子の大きさが違うために光の散乱現象が異なります。
レイリー散乱がホワイトニング、ミー散乱がグリスニングに起こる現象です。
<< 散乱の法則の図 >>
レイリー散乱は粒子が小さいので光が通ります。そのため視力には影響しません。
一方、ミー散乱は粒子が大きいため光を反射してしまい、視力が低下します。