久里浜眼科

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緑内障


房水の流れ

房水とは、膜の中にある、栄養を運んだり目の硬さ(眼圧)を維持するための液体です。
緑内障は、この房水の流れにくい場所によって、閉塞偶角緑内障と開放偶角緑内障の2つに分けられます。

緑内障 視野のイメージ図
※参考資料:医薬ジャーナル社より




原発性放隅角緑内障・正常眼圧緑内障

線内陳は視神経が徐々に欠落して視野が狭くなっていき、最後失明にいたる場合もある疾患です。眼は一定の圧力(かたさ)で眼球という形を保っています。
この圧力を眼圧といい21mmHg未満の方が多いと言われています。かつては眼圧が高い=緑内障と言っていましたが、むしろ眼圧が正常な人でも緑内障の方が60〜70%と言われています。
眼圧を下げることが進行予防に最も重要な治療です。そめため治療はまず点眼にて眼圧を下げることを行い、眼圧の目標値を設定します。例えば無治療時の眼圧の20〜30%減、又は緑内障の進行度によって19mmHg以下・15mmHg以下・12mmHg以下に設定します。 この目標値に達する様、点眼をまず1種類から初め眼圧の下がりが悪ければ作用の違う点眼を追加していきます。点眼が2種類以上の時は1つを点眼した後、次の2つ目は5分ぐらいあけて点眼するようにして下さい。
治療の目標は今ある視野を保つことで、良くなるものではありません。つまり視野を改善するのではなく視野障害があってもー生不自由なく過ごせる様にするのが目的と考えて下さい。


眼底疾患
  また進行してもゆっくりですので、今日・明日に見えなくなってしまう疾患ではありません。点眼を増やしていっても視野が進行する様であれば、レーザー治療・又は手術を行う場合もあります。また眼圧のコントロールがうまくできているかチェックするため、一ケ月に一度の眼圧の検査と6ケ月に一度の視野検査・視神経・GDX(視神経線維の欠損を見る検査)の検査をします。


検査方法 写真をクリックすると拡大画像が表示されます


red-free による検査
緑内障を早期に探すため、当院では3D眼底カメラ、狭角眼底カメラにて神経を検査し、広角眼底カメラにてNFLD(神経破損)特にred-freeの眼底写真にて神経周囲の厚さを検査しております。



視野のイメージ図

緑内障 視野のイメージ図
初期 暗点(見えない点)が目の中心をやや外れたところにできます。
中期 視野の欠損が(見えない範囲)が、暗点の拡大により広がり始めます。
後期 暗点がさらに広がり、視野(見える範囲)は狭くなり視力低下が起こります。




緑内障の治療について

点眼薬治療では眼圧の下がりが悪く、視野狭窄が進行してしまう場合、原発開放偶角緑内障では、レーザー治療(SLT 選択的レーザー繊維柱帯形成術)を行います。それでも眼圧の下がりが悪い場合は、手術を行うこととなります。手術方法としては代表的なものとして2つあり眼圧を15mmHg程度まで下げるトラベクロトミー(繊維柱帯切開術)と、それ以上の眼圧降下を期待する場合に行うトラベクレクトミー(繊維柱帯切除術)があります。
閉塞偶角緑内障に対しては、レーザーイリドトミー(レーザー虹彩切開術)を行います。


(1)トラベクレクトミー(繊維柱帯切除術)   写真をクリックすると拡大画像が表示されます
結膜の下に通路を作り、そこから房水が流れるようにして眼圧の低下をはかる手術です。
作った通路を塞がりにくくするため、わざと傷の治りを遅らせる薬(マイトマイシンC)を術中に切開創に塗布します。こうすることで、治療効果を維持させることができます。
しかし、眼圧が下がりすぎることにより、視野狭窄が進行してしまうこともあるため、切開創はきつめに縫合します。また、術後は定期的に眼圧を測定し、眼圧があがっているようであれば、切開創を縫合してある糸をレーザーによって切除し、房水の流れを調節することで眼圧のコントロールをはかっていきます。
緑内障 視野のイメージ図

※参考資料:日本アルコン株式会社 図解「緑内障ガイド」より


photo(1)強膜弁を作製しているところ photo(2)MMC(マイトマイシンC)を塗布しているところ photo(3)繊維柱帯を切除しているところ

photo(4)周辺虹彩を切除しているところ photo(5)強膜弁を縫合しているところ    




(2)アルコン エクスプレス™ 緑内障フィルトレーションデバイス


<<使用目的・効能または効果>>
眼圧を低下させるために眼内の房水を眼外に流出させる線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)において 房水流出経路の役割を果たす管のようなものです。
点眼薬・内服薬治療やレーザー治療などの治療法によっても十分な眼圧下降が得られない緑内障の方の眼圧下降に使用します。

緑内障 視野のイメージ図

<<特徴>>

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)と同等の眼圧下降効果が得られる。

手術中の眼圧変動が小さく、手術時間を短縮できる。

虹彩切除や強膜創作成が必要ないため術後の炎症や前房出血のリスクが軽減でき、低眼圧、脈絡膜滲出、 脈絡膜剥離などの合併症も軽減します。

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)に比べ術後早期の視力回復が得られる。
同時に白内障手術を行える。

<<手術手順>>

[1]

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)の術式に準じて開窓前まで手順を進めます。

[2]

25G針で前房内へ軌道を切開します。

[3]

眼灌流液で本体を緩め、動きを滑らかにします。

[4]

本体を前房内へ穿刺します。

[5]

デリバリーシステムの操作ボタンを押し、デリバリーシステムワイヤを押し込むと デリバリーシステムワイヤ先端部が引っ込み本体が外れます。

[6]

デリバリーシステムを静かに引き抜き、本体の位置および房水の流出を確認します。

[7]

線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)の術式に準じて強膜弁と結膜を縫合します。
手術時間は15分から20分程度です





(3)トラベクロトミー(繊維柱帯切開術)  写真をクリックすると拡大画像が表示されます

眼圧が15以上で、眼圧降下剤の点眼で十分な眼圧降下が得られず、視野狭窄が進行する場合に手術を行います。
シュレム管にトラベクトロームという器具を挿入して、繊維柱帯を切開し、その場所の抵抗をなくして房水の流れを良くする手術です。
緑内障 視野のイメージ図
※参考資料:日本アルコン株式会社 図解「緑内障ガイド」より


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強膜フラップを作製し、シュレム氏管を探しているところ
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トラベクロトームを挿入したところ
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トラベクロトームを回転しシュレム氏管の内壁を切開しているところ
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強膜フラップを縫合しているところ

(4)SLT(選択的レーザー繊維柱形成術)

原発開放偶角緑内障、嚢性緑内障、高眼圧症などで、点眼だけでは不十分な症例に対して点眼薬治療と併せて行います。
Qスイッチ半波長レーザーを繊維柱帯に照射し、繊維柱帯細胞を活性化させ、房水の流れを良くして眼圧の低下をはかる治療法です。このレーザーは、繊維柱帯の構造に変化を与えるALT(アルゴンレーザー繊維柱帯形成術)と違い、色素細胞のみを選択的に破壊し無色素細胞を活性化させるという特徴があります。このことから、このレーザーは何回も照射することが可能であり、その分長期間にわたり眼圧をコントロールすることが出来ます。治療効果としては、60〜70%の割合で効果があると言われており、レーザー後の眼圧の降下率は最大で20%程度といわれています。術後すぐに効果を表す例から、1〜2ヶ月して効果を表す場合もあり、また術後6ヶ月までは眼圧の下がる可能性があると言われています。
緑内障 視野のイメージ図
※参考資料:日本アルコン株式会社 図解「緑内障ガイド」より


(5)レーザーイリドトミー(レーザー虹彩切開術)

閉塞偶角緑内障に対して行う治療法です。緑内障の急性発作を起こした場合、あるいは将来、起こす可能性のある狭偶角眼に対して行います。虹彩にレーザー(マルチカラーレーザーorYAGレーザー使用)をあてて穴をあけ、房水の流れを良くして眼圧の低下をはかります。また、急性発作の場合は、薬物治療(眼圧をさげる点滴)をして出来る限り眼圧を下げたあとに、このレーザー治療を行います。しかし、最近ではレーザーによる内皮障害が問題とされ、レーザー治療ではなく白内障の手術をして根本的に治す方が良いといわれています。

緑内障 視野のイメージ図
※参考資料:日本アルコン株式会社 図解「緑内障ガイド」より



(7)トラベクトーム(線維柱帯切開術)

開放隅角緑内障に対する手術の1つです。電気メスの先端の電極から発生するプラズマで電気焼灼することによって、線維柱帯の一部を切開・除去し、房水の流れをよくして眼圧を下げることが出来ます。





<<手術内容>>
[1] 点眼麻酔をします。
[2] 耳側角膜を1.7o切開します。(図1参照)
[3] 粘弾性物質を注入します。
[4] トラベクトームを挿入します。(図2参照)
[5] 隅角鏡で確認しながら鼻側線維柱帯まで進めます。(図3参照)
[6] フットプレートの先端をシュレム管に挿入し、吸引・電気焼灼をしてゆっくりと動かしながら線維柱帯を切除していきます。(図4参照)
※時計回り、及び反時計回りに各45〜60°ほど切除し、全体で90〜120°切除します。 (白内障同時手術の場合はその後切開創を必要に応じて拡大し、超音波乳化吸引および眼内レンズ挿入を行います。)
[7] その後眼内に残存している粘弾性物質、および逆流性出血を除去し、必要に応じて角膜を10-0ナイロン糸で縫合して手術終了となります。

手術時間は約15〜20分程度です。


写真をクリックすると拡大画像が表示されます
図1 角膜切開 (クリックすると拡大画像がご覧になれます)
図1 角膜切開
  図2 トラベクトーム挿入 (クリックすると拡大画像がご覧になれます)
図2 トラベクトーム挿入
 
図3 線維柱帯まで進行 (クリックすると拡大画像がご覧になれます)
図3 線維柱帯まで進行
  図4 シュレム管に挿入後、吸引・電気焼灼 (クリックすると拡大画像がご覧になれます)
図4 シュレム管に挿入後、吸引・電気焼灼




【トラベクトーム前後の隅角】    
(手術前)   (手術後)
 


<<特徴>>
[1] トラベクレクトミーに比べ、トラベクトームは眼圧下降効果は低い。(ロトミーとは同じくらい) よって、トラベクトーム術後さらに下降が必要な場合にはトラベクレクトミーを行う。
[2] 角膜切開からのアプローチなので結膜・強膜の温存可能。そのため、後からトラベクレクトミーがやりやすい。(侵襲性の度合いとしては、高い方からトラベクレクトミー>ロトミー>トラベクトームである)
[3] 術者にとっては、従来の緑内障手術に比べて手技が容易。
[4] 白内障と緑内障を同時に手術することが可能。
[5] トラベクレクトミーやロトミーに比べて合併症が少ない。


(8)MIGS:極小侵襲緑内障手術
  • レクトミーの問題点として、リスクが多いことです。例えば、手術により視力低下、視野の進行、結膜と強膜を切開するため、眼内炎などの感染症があります。眼圧低下の効果は一番の手術ですが、まずはリスクの低いアイステントやトラベクトーム(MIGS)を視野が進んでないうちに選択し、手術を行います。当院では主にトラベクトームを行っています。
  • MIGSとは、低侵襲手術です。結膜や強膜の侵襲を最小限とする術式です。MIGSの種類にはトラベクトームとアイステントがあります。


@トラベクトーム
  • 当院のMIGSのメイン手術です。
  • レクトミーと比べ、侵襲が少なく、白内障手術と同時に行わなくてもよいといったメリットがあります。
  • 大体の方は眼圧15mmHgが平均で、20%の方は10~14mmHgになる方もいます。眼圧のコントロールが悪く、レクトミーを行う方もいます。


Aアイステント
  • 白内障手術と同時に行い、シュレム管にアイステントを埋め込むことで、房水の排出を増加させ眼圧を下げます。白内障手術と同時に行うことによって単独手術と比較してより低い眼圧値を得ることを目的としています。術後に使用する点眼薬数を減少させることも効果として加味されています。個人差がありますが、アイステント1本で点眼0.3本分程度の眼圧が下がるとされています。白内障の手術では点眼1本程度の眼圧低下、現在、アイステントは1本しか使用ができませんが、今後2本のアイステントを入れることが可能になるかもしれません。

<<特徴>>
  • アイステントは長さ1mmと小さく、チタンでできています。
  • 手術による傷は白内障によるものだけなので、負担は少ないため緑内障の手術よりも術後の生活が楽です。
  • しかし、白内障手術と同時でないと行えない為、既に白内障手術を受けている方はこの手術を希望しても受けることができません。


<<トラベクトームとアイステントの違い>>
  • トラベクトームは白内障と同時に手術しなくてもよいが、アイステントは白内障手術と同時でしか行えない。
  • トラベクトームは大体の方が眼圧15mmHgが平均で、20%の方は10~14mmHgになる方もいます。アイステントは個人差がありますがアイステント1本で点眼0.3本分程度の眼圧が下がるとされています。


<<前視野緑内障>>(Preperimetoric glaucoma:PPG)

視神経に緑内障性の異常が認められるものの、視野異常が認められない状態のことです。(図A)視野異常がないために緑内障と診断されないが、将来的に緑内障に移行する可能性がある状態を言います。早期発見には、神経線維の異常を検出することが重要となります。そこで重要な検査が光干渉断層計(OCT)です。この検査で視神経乳頭の陥凹の程度や神経線維層の厚みを調べることが出来ます。また、眼圧が15mmHgの方は治療をすすめ、14mmHg以下の方は経過観察していきます。その結果をもとに今後の治療についてDrと決めていきます。


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